序章 最悪の事態もイメージトレーニングで乗り切れ!

2017年11月22日

身体は忙しくても、頭の中は常に自由

 

考えるより先に動くために、大切なことの三つめ。

 

“イメージトレーニング”

 

そう!

 

イメージトレーニングです!

 

そう!

 

考えるのではなく、イメージするのです。

 

例えば、

 

インタビュー取材の時、わたしが行うこと。

お相手の資料やデータをしっかり読み込みます。

書籍があれば前日に振られた仕事でも読めるだけ読むし、重要なキーワードはメモをします。

まあ、これは仕事をする人間として当然のことですよね。

 

男性?女性?

事件?番宣?告発?釈明?

芸能人?財界?政治家?一般人?

 

職種というか、相手の立場に合わせて、服装を決めます。

お会いする日時。朝なのか、昼なのか、夜なのか?

ご飯を食べながら?それとも、どこかのスタジオで?

相手のホームグラウンド?こちらのホームグラウンド?

現在のお相手の体調は?精神状態は?機嫌は?

自分から進んでインタビューを受けてくれるの?それとも事務所に言われて嫌々なの?

事前に調べられること、聞けることはできるだけたくさん聞きます。

そして、しっかりメモを取ります。

でも、このメモは現場には持って行きません。

これらを事前にしっかり精査して、

ここからがイメージトレーニングです。

 

最悪の事態もイメージトレーニング

 

まず、初対面では自分はどういう顔をしてどう挨拶をするのか?

いくつものパターンをイメージして、相手がどう反応するかをイメージします。

最初は、服装の話からするのか?それとも、いきなり本題に入ったほうがいいのか?

スムーズにインタビューができた時の流れを何パターンかイメージして、

とんでもないスクープを聞き出せた瞬間をイメージします。

反対に、

最悪の事態もしっかりイメージします。

 

悪いイメージを持つのはよくないと言うのが一般的な考え方です。

勝負の世界に生きるアスリートは決してしないことです。

でも、わたしはチキンなので、

しっかり最悪のシチュエーションもイメージしておくのです。

 

最後は必ずプラス

 

例えば、

全く話してくれなかったり、最初から攻撃的で悪意剥き出しの場合などです。

そんな場合をイメージしておかないと、どう対処して良いか分からず、こちらもパニックに陥ってしまうからです。

だから、

最悪のシチュエーションをイメージして、それがプラスに転じるパターンまで、何パターンもイメージするのです。

 

 

かつて、このようなことがありました。

 

ある若手有望プロ野球選手A氏をインタビューした時のことです。

 

シーズン半ばのことでした。

彼は極度の成績不振に陥り、全く打てない日々が続いていました。

それでも監督は彼の将来性を期待して、我慢して使い続けていましたが、やはり結果が出ません。

 

そんな彼の状態や感じていることを話してもらいたいとインタビューをお願いしました。

球団は快く応じてくれました。

プロ野球の場合、いくら球団が応じてくれても本人にその気がなければインタビューできません。

プロは、本人の意思が何よりも尊重されるからです。

 

だからと言って、インタビューに快く応じてくれるかといえば、案外そうでもなくて、

その時の気分によって、態度がガラッと変わる選手もたくさんいます。

 

基本的には、ベテラン選手はインタビュー慣れをしているので、良い意味でも悪い意味でも、

態度が変わりません。そのぶん、面白いコメントを取ることはとても難しくなります。

でも、若い選手はその時の気分がそのまま出るので、調子が良いと饒舌に話してくれますが、調子が悪いと終始ふてくされた態度を取るような選手もいます。

いくら本人がインタビューを承諾してくれたと言っても、

「あん?いいっすよ別に。でも俺、何にも喋りませんよ」

そう言って引き受けている場合もありますから、調子の悪い選手にインタビューをするときは、本当に要注意なのです。

その選手の場合、少し気になることがありました。

資料を調べていると、ブログをやっていて、のぞいてみると、

野球とは関係ないことがたくさん書いてありました。

こんな時、どういう気持ちでこのブログを書いているのだろう?

本人の気持ちになってイメージします。

野球に集中できてないのかな〜。

なんとなくそんな気がしました。

インタビューはホテルの部屋で行われました。

カメラや照明をセッティングし、待っていると、

A氏が入ってきました。

ユニフォーム姿でしたが、なんと、他の選手のユニフォームを着てきたのです。

「ユニフォームが違いますが、それは?」

「いや、別に」

「・・・・・・・・・写真撮影は、そのユニフォームのままですか?」

「そうすよ」

「球団はそれでいいと?」

「いいんじゃないですか?俺の自由だし」

「Aさんがいいならいいですけど、ファンに対して大丈夫ですか?」

「関係ないすよ」

「・・・・・・・・・」

 

それからは何を聞いても、

「わかんないす」

「どうすかね〜」

「わかんないす」

「わかんないものはわかんないす」

わたしとは目を合わそうともせず、カメラがいくら要求しても顔をあげません。

30分近くそのような状態が続くので、休憩中に球団担当者と話をしました。

すると、

「彼はいつもああですよ。機嫌がいい時もだいたいあんなもんです。適当にいいことを書いておいてください」

当たり前のようにそう言います。

「それはできません。このままでは彼の態度、言った言葉をそのまま書くことになります」

「番記者の方は書いてくれますよ」

「わたしは番記者じゃないので、話してないことを書くことはできません」

「じゃあ、そのまま書けばいいんじゃないですか」

「わかりました。そうさせていただきます」

そのことをA氏にも伝えました。

「いいんじゃないすか?」

「関係なくはないですよ。ファンの方が読むんですよ。ファンへのメッセージなんですよ」

「もういいすか?終わりましょうよ」

 

最後に、他球団のB選手のインタビューをした時の話を彼にしました。

A氏と同じように、大スランプに陥っていた時にインタビューをさせてもらったのです。

B選手は、インタビュールームに入るなり、初対面のわたしにこう言いました。

「よろしくお願いします!俺、どうすれば打てるようになりますか?もう、何やってもうまくいかないし、どうすればいいか自分でもわからないんですよ」

「いやいや、わたしのような素人に聞かれても答えられませんよ」

「でも、見ていて何か感じることがあったら教えてください。やれること全部やったんですよ。その結果がこれですよ。まだやれること、何かあると思うんですよ。でも、自分ではさっぱりわからないんです。これがスランプなんでしょうけど。なんでもいいんです。なんかないすか?」

わたしはこう言いました。

「専門的なことはわかりませんが、少しは気分転換してますか?」

「遊びですか?」

「オフに思い切り羽伸ばしてます?」

「そんな余裕ないですよ。今、遊んでいるところをファンに見られたらやばいでしょ?遊べないすよ」

「でも、遊びたいんですよね?」

「遊びたいすよ」

「だったらオフは遊んだ方が良くないですか?」

「でも、遊んだら、練習しないで遊んでるって書くでしょう?」

「練習しないで遊んでたら書きますよ。たくさん練習してたくさん遊べばいいんじゃないですか?」

「それだから遊べないんだよな〜。マスコミはずるいからな〜」

「マスコミはスター選手だけを追うんです。プロ野球選手だったら誰でもいいってことじゃない。プレイからプライベートから、何から何まで桁外れにかっこいい選手だけを追うんです。ファンもそういう姿を見たいんですから」

「・・・。そうかー。そうですよねー。追われなくなったら終わりですよね。じゃあ、遊ぶか!もし夜の街で僕を見つけたら隠し撮りをしないで声をかけてくださいね。ま、いっか、隠し撮りされてもかっこよけりゃいいのか。注目されてるってことですもんね」

このインタビューの後、彼がものすごく活躍している姿が鮮明にイメージできました。

その翌年から彼はずっと活躍し続け、輝かしい成績を残したのです。

 

この話をすると、A氏はこう言いました。

「その人と俺は違う人間だし。知らねーし。だからなんすか?」

わたしは、最後にこう聞きました。

「Aさんにとって、プロってなんでしょうか?」

その答えは、

「わかんないす」

わたしには彼がその後活躍する姿は全くイメージできませんでした。

これまで何百人と選手を撮影してきたカメラマンも、

「彼は難しいかな〜」

こう言いました。

「やっぱりダメですか?わかりますか」

「わかりますね。目が何も見てないんです。無理かな〜。才能あるのに残念だな〜」

 

 

結局、記事はそのまま掲載しました。もちろん、最後は、

「復活を期待したい!」

と、いう言葉を添えて。

しかし、その後、彼が活躍することはありませんでした。

 

イメージを言葉に

 

A選手とB選手の決定的違いはなんでしょうか?

あの当時、二人の成績、実績は全くと言ってもいいほど同じでした。

でも、その後の成績は全く異なるものになりました。

二人を分けたものはなんでしょうか?

性格の違いでしょうか?

もちろん、それもあるでしょう。

でも、最大の違いは、

常にイメージトレーニングできているか否か?

ではないでしょうか。

 

A選手は、自分のその後の活躍をイメージトレーニングできなかったのではないでしょうか?

 

頭の中は自由です。

 

どんなに辛くても、苦しくても、身体がいうことを聞かなくても、頭の中では常に良いイメージを持ち続けることが、アスリートにはとても大切なことです。

辛い時には、苦しみを吐露することも必要です。

でも、プロである以上は、時と場合をわきまえるべきでしょう。

コーチや球団関係者に想いの全てをぶつけても、初対面の相手に話すことではありません。

普段からイメージトレーニングをしっかり行なっていれば、あのような態度にはなりません。

 

やれなくても、苦しくても、頭に描いているイメージで望めば、

しっかり相手の目をみることくらいはできます。

そして、

そのイメージを言葉に出してみると、なおさら、効果が高まる。

 

しっかり自分を鼓舞することができるのです。

 

わたしはそう思います。

 

次回もイメージトレーニングについていきたいと思います。

最後まで読んでくださってありがとうございました。